米ドル/中国人民元(USD/CNY)為替レート推移(IMF)|セカイハブ


中華人民共和国が発行する通貨は人民元(CNY)と呼ばれます。通貨の単位は元(Yuan、ユアン)となっており、補助単位に角(Jiao、ジャオ)、分(Fen、フェン)があります。香港では独自通貨「香港ドル」が使われており、中国人民元とは別に扱われます。人民元はもともと米ドルとの固定相場を採用していましたが、2005年7月に人民元改革が行われ、通貨バスケット制を参考にした管理変動相場制へと移行しました。新制度へ移行の際に、対米ドルで人民元が約2%切り上げられ、人民元の自由化に向けて一歩踏み出すことになりました。暗号資産の注目度が高まる中、2019年に中国政府は「デジタル人民元」構想を打ち出しました。他国に先行した最先端の取り組みに注目が集まっており、将来的なデジタル人民元の普及から中国・人民元の更なる地位向上が期待されています。


人民元/USドルの為替レートの推移(2021年1月~2024年11月)

人民元相場は管理変動相場制によってコントロールされており、中国本土の住居者や、貿易など実需に基づく取引に限られるほか、毎日人民銀行が発表する1ドルあたりの人民元の基準値レートで日中の変動幅を上下2%以内に設定するなど多くの制限が課せられています。中国当局にとっては通貨の価値をコントロールするための規制ですが、この規制により、人民元は外国為替市場にはほとんど流通しない流動性の低い通貨となっていました。しかし、急激な経済成長を遂げている中国としては、国際金融市場から取り残されるわけにはいかなかったため、中国本土の人民元(CNY)取引市場とは別に、2010年に中国本土外の人民元(CNH)取引市場を立ち上げました。

マーケットではCNYを「オンショア人民元」、CNHを「オフショア人民元」と呼んでいます。ただ、それぞれが異なる貨幣というわけではなく、調達先によって表記が区別されています。2つの人民元相場では取引ルールや市場参加者が異なるため為替レートも異なります。このように人民元には2つの市場がありますが、現在市場規模を拡大させているのはCNH(オフショア)になります。市場を拡大させている要因として中国政府が正式に認めた市場であるということはもちろんですが、規制緩和により人民元の調達コストが低減し、世界中から取引参加者が集まったことが挙げられます。そしてみんなのFXをはじめ多くのFX会社が取り扱う人民元もこの「CNH(オフショア)」となります。

1978年の「改革・開放政策」以来、「社会主義市場経済」と称し経済発展を推し進めてきた中国。2001年のWTO加盟から成長を加速させ、2010年には名目GDP (国内総生産) で日本を抜き、2023年は米国に次ぐ世界2位の17兆6,000億米ドル、日本の4倍超の経済規模に拡大しています。2020年以降、長期化した「ゼロコロナ政策」の影響もあり、経済成長率は一時的に鈍化しましたが、2030年ごろには米国を抜いて世界一の経済大国になるという予測もあります。
世界で3番目の広大な国土に約14億人という世界最大級の人口を抱え、世界の経済動向のカギを握っています。2023年の中国の1人当たりGDP (名目) は約1万2,514米ドルで、あとわずかで「高所得国」 (世界銀行GNI基準) の仲間入りです。中間層がさらに拡大し活発な消費が行われれば、巨大な人口に支えられ国内市場だけでも十分な成長が期待できることに加え、2013年に立ち上がった「一帯一路」構想 (現代版シルクロード経済圏と呼ばれ) に基づいて、周辺国からアフリカ、欧州に至る広い地域で大規模なインフラ開発を進めてきたことも中長期的な経済成長を促しそうです。
また中国では、電気自動車 (EV) に国が補助を出したことで普及が加速しました。AIやドローンなどの最新テクノロジーを活用したサービスも急速に普及しており、今後も新たな技術や革新的なサービスによって世界をリードしていく可能性があります。
一方で中国と米国との対立が激化しています。2018年ごろから、米国の中国に対する関税措置、米国を中心とする先進国によるハイテク中核部品・機械の輸出規制、安全保障を理由とする中国製通信機器完成品の輸入規制などが行われました。新型コロナをめぐっても衝突があり、香港・台湾や人権問題でも米国による批判は強まっています。欧州とも貿易摩擦の火種を抱えています。
米国による対中制裁もあって、G7の中で唯一「一帯一路」に参加してきたイタリアが離脱しました。他にも「一帯一路」は一部の国でいわゆる「債務のわな」への警戒感を呼び、事業がとん挫しています。
ロシアのウクライナ侵攻に関しては停戦に向けて建設的な「立場」を表明していますが、むしろロシア寄りとの批判もあります。一面では旧ソ連邦の構成国だったベラルーシや、ウズベキスタンなど中央アジア諸国で中国の影響力が増す、中国元の決済使用量が増えるという可能性もあります。
また、中国は近年、イランやロシアなどから中国元建てで石油や液化天然ガス (LNG) の購入を増やしています。習近平国家主席は2022年末にサウジアラビアおよびアラブの主要産油国で構成する湾岸協力会議 (GCC) の指導者たちと会談しました。サウジアラビアとイランの外交関係正常化合意を仲介するなど、中東において大国としての存在感を示してもいます。
国内経済の面では1979年に「一人っ子政策」が導入され2014年には終了したものの、現状では高齢化、出生数の減少が急速に進んでおり、労働人口の減少を通して成長見通しに影を落としています。
また、不動産市場の低迷が大きな問題となり、デフレに突入しているとの見方もあります。中国当局は2024年5月に総合的な不動産支援策を発表、ようやく本腰を入れ始めたように見えますが、このテコ入れ策が功を奏するかが注目されます。

月, 日付, 米ドル, ユーロ, イギリス ポンド, 豪ドル, スイス フラン, 人民元

日本では「元」と呼ばれることが多い中国元ですが、中国では「人民幣」と表記されます。通貨バスケットに対する管理変動相場制をとっています。
中国元市場は、中国本土内で取引されるオンショア中国元市場と、香港を含む海外で取引されるオフショア中国元市場の2種類があります。香港は中国の一部ですが、本土とは通貨制度が異なり、中国元は外貨と同様であるため、オフショア中国元市場のひとつとなります。当社が取り扱う中国元はオフショア中国元です。
もともと中国元はオンショア (中国本土内) のみで取引されていましたが、中央銀行である中国人民銀行と、香港の中央銀行にあたる香港金融管理局 (HKMA) が2010年、中国元の国際化を推進するため、中国本土と香港との間で中国元の受け渡しをできるようにするという共同声明を発表しました。これによって香港に世界初のオフショア中国元市場が誕生しました。現在、オフショア中国元市場は、シンガポール、台湾、ロンドンなどにも開設されています。

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[PDF] 第 4 章 人民元レートの長期的政策選択について

人民元は世界第2位の経済大国の通貨として、投資対象としての安定感や高い将来性を有している点が最大の特徴です。中国の「国債格付け」は日本よりも高く、他国と比較した信用リスクは低くなっています。また、日本の為替介入で話題となった「外貨準備高」は世界第1位で、相場の急変時に為替レートを安定させる能力が高いことも魅力に挙げられます。
人民元は2016年に国際通貨基金(IMF)の定める特別引出権(SDR)構成通貨に採用され、米ドルやユーロ、日本円、イギリス・ポンド、スイスフランと同様に主要通貨に位置付けられたことで、国際的な人民元の信用度は高まりました。また、世界各国の主要金融機関が参画する国際銀行間通信協会(SWIFT)の発表では、2021年12月の国際決済における人民元のシェアは日本円を抜いて世界第4位となっています。2022年序盤からはロシア・ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、ロシアは米ドル・ユーロといった決済網から外れることになりました。ロシア国内では金融市場や貿易決済において、人民元が代替の決済通貨として急激に需要が増加しています。過去には「人民元ショック」が発生し、一時的に通貨安が進むなど不安定な時代もありましたが、今後「国際決済通貨」として大いなる期待に満ち溢れている通貨といえるでしょう。

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為替レート(対円) 為替レート(対米ドル) 基準レート/為替コスト

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2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大によって中国経済は大きな打撃を受け、人民元/円は一時15円台を割り込む場面もみられました。ただ、都市封鎖(ロックダウン)などの措置を早期に行ったことで経済活動の回復をいち早く実現します。同年夏以降は他国に先行した景気回復基調を続ける中、人民元/円は2022年末ごろまで上昇トレンドを形成しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再拡大を抑え込むための「ゼロコロナ政策」が見通しを曇らせます。一時は北京や上海といった大都市で都市封鎖が行われ、厳格な行動制限などが実施されたことで、中国の景気後退懸念が広がり、相場の重石となりました。


為替レート&チャート「米ドル / 円」 | 情報・ツール | 外貨預金

中国人民銀行は日々、取引の初値となる「中間値 (基準値) 」を発表します。これを基準としてその日の値動きを上下1%以内に収めなければならないという制限をかけています。元が上昇傾向であっても、中国人民銀行が「中間値 (基準値) 」を低く設定した場合は上昇が抑えられることになります。
金融政策は、中国人民銀行が企業の借り入れコストを誘導し金利を特定のレンジ内に維持するために、中期貸出ファシリティ (MLF) や7日後の売却条件付き債券購入 (リバースレポ) など様々な手段を使って細かく行っています。

【日経】円ドル相場・人民元相場など為替の最新ニュース、債券市場の最新動向をお届けします。

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当行公表相場仲値推移一覧(米ドル・スイスフラン・英ポンド・ユーロ)を月次で掲載致します。 ..

2024年後半からの中国人民元/円は、中国景気の行方と中国・日本の金融政策に絡んだ相場が予想されます。
先の「ゼロコロナ政策」の反動は思いのほか大きく、中国の企業マインドは製造業・非製造業ともに停滞、幅広い分野で頭打ちの動きを見せています。とりわけ、中国経済の牽引役だった不動産業の販売不振によって、成長率は鈍化しています。。一方、長期化する不動産不況とそれに伴う先行き懸念に対応するため、中央銀行にあたる中国人民銀行は、利下げと預金準備率の引き下げによる経済下支え措置を行っており、今後はその効果や経済見通しを見極めていく局面となります。
一方、日銀は根強いインフレ圧力を背景にマイナス金利解除へと遂に踏み切り、その後追加利上げが実施され、政策金利は0.25%となっています。日中の金融政策の違い、金利差縮小の思惑などから、人民元/円相場は2024年7月高値から一旦は円高方向へ押されています。ただ、依然として日中の金利差は健在であるほか、足元の日銀追加利上げの見通しは、2024年内はさらに1回程度の見込みです。そのため、利上げ実施前後で局所的な円高は想定されるものの、いずれは金利差を狙った円キャリートレードへの回帰も見えてくるのではないでしょうか。

中国人民元/円(CNY/JPY)のチャートや値動き、関連ニュースをお届けします。

オフショア中国元の対円や対米ドル相場は、長期で見るとオンショア中国元の対円・対米ドル相場とほぼ同じ方向感で動きます。2000年代前半までのオンショア中国元相場は、ほぼ1米ドル=8.28元に固定 (ペッグ) されていました。中国人民銀行は2005年7月に通貨バスケット方式の管理変動相場制を採用すると同時に1米ドル=8.11元に切り上げました。これは市場に衝撃をもたらし「元ショック」とよばれました。その後、少しずつ元高・米ドル安に誘導、2007年には変動幅を拡大しました。しかし、2008年9月にリーマンショックが発生すると、中国は自国の産業を保護する目的から、オンショア中国元相場を1米ドル=6.285元前後で固定しました。2010年に、中国の経済の実力に対して元が安すぎるという米国の批判もあり固定をはずし「中国元レートの弾力化」を発表、2012年に再び変動幅を拡大しました。対米ドルでは緩やかな上昇傾向をたどりましたが、対円では米ドル / 円相場の影響を受けて2011年まで下落しました。その後は円安主導で元が上昇しました。
2015年8月11日には中国人民銀行がオンショア中国元の基準値の算出方法を変更すると発表し、事実上の切り下げを実施しました。これは人件費の上昇などによって低下した輸出競争力を回復することが狙いの「近隣窮乏策」と受け止められ、世界的な株安を招くなど金融市場が混乱しました。その後はさらなる元切り下げ観測などから、中国から資金流出が生じました。中国政府は通貨を支えるために介入し外貨準備を大きく取り崩す事態となりました。
米国で対中貿易赤字が大幅に拡大し、トランプ大統領 (当時) が2018年に中国への関税強化を打ち出しました。中国も報復関税をかけ、貿易戦争が激化。中国元は2019年に1元=14円台まで下落しました。
2020年以降、ゼロコロナ政策を背景に中国の経済見通しが悪化、中国の金融緩和姿勢から対米ドルでは元は大きく下落する場面がありましたが、対円では円安が勝っています。
2021年以降、中国元は米ドルとおおむね連動した値動きとなり対円では上昇しました。長期にわたるゼロコロナ政策で経済は圧迫されましたが、対ドルでの円安が影響し、2022年夏には1元=20円台をつけています。
2023年からゼロコロナ政策の解除で経済再開期待が高まりましたが、実際の回復は予想より鈍く、米金利の上昇もあり、年前半は1ドル=7元割れでの推移となりました。その後は一時持ち直しましたが、1ドル=7.3元近辺では国有銀行などが中国元買いの動きを強めたことがあります。
ただ、2024年6月には国有銀行の買いが見られなくなっているとの市場観測があり、また中国人民銀行が公表する基準値を元安方向にするなど当局が元安を容認しているとの見方も出て、中国元は対ドルでは安値圏での推移となっています。
一方対円では、ドル円相場に連動した動きで約30年ぶりの高値を再び更新。2024年6月現在1元=21円台後半となっています。

人民元、対ドルで横ばい 16時30分時点は7.2989元 · 為替概況 · 為替・金利

このほか、米中関係の動向にも引き続き気を配りたいです。2020年11月に民主党のバイデン大統領が就任し、米中関係は比較的落ち着きを見せていますが、今年11月には米大統領選が予定されています。大統領選の行方次第では米中の貿易見通しが悪化し、中国経済への影響も大きくなりそうです。現在大統領候補とされているのは、民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ元大統領です。トランプ氏は2018年の米中貿易摩擦の発端となった人物であるため、次期大統領として再選することとなれば、見通し悪化により人民元安が進むことが想定されます。米中対立の激化や中国景気の先行き不安が高まった局面では短期的な人民元売りトレードにも妙味がありそうです。

USDCNHチャート — 米ドル/中国人民元レート — TradingView

現在でも、両国の金利差によって人民元/円を買いで保有することで得られるスワップポイントは魅力的です。お客様に魅力的なスワップをご提供するためにカバー取引先との交渉を重ねており、中国の将来性を期待して人民元を保有されるお客様にご満足いただいています。みんなのFXでは1,000通貨から取引が可能で、約800円の証拠金を預けることで取引を始められます。(1CNH=20円で計算した場合)米ドルやユーロといった通貨と比べて価格が低く、少ない資金から取引が可能です。長期保有を前提にトレードすることで、複数に分けてエントリーすることや資金管理もしやすくなり、余裕を持って取引に臨める点も利点の一つです。
短期トレードで為替差益を狙うこともできますが、スワップポイントをもらいながら時間を味方につけることができます。含み損を抱える場面でもスワップポイントでカバーすることもできることから、長期保有も重要な戦略です。みんなのFXでは「スワップシミュレーション」を提供しており、1か月~35年の期間でスワップ収益を簡単に計算することもできます。
皆さんも「みんなのFX」で人民元/円の取引を検討してみてはいかがでしょうか。
(2023年8月時点 トレイダーズ証券 市場部)