外国為替市場で円安が進み、円相場が1990年7月以来、およそ33年9か月ぶりに1ドル=152円台まで下落しました。


ところで、1990年と言えば、もう1つ日本のバブル崩壊が始まったタイミングとしても知られている。それが160円の円安にどう影響したかと言えば、バブル崩壊に伴う株安・円安ということではなく、むしろ逆に円安終了に影響した可能性があった。


NY円が一時1ドル=152円台後半まで下落…1990年6月以来

外貨投資を考える際、米ドル投資を考える人も多いだろう。米ドルは世界の基軸通貨で、主要決済通貨でもあり、有事でも安全な資産の一つだと考えられている。分散投資として外貨投資を始めるにはドル円投資が最適だろう。ドル円相場には「8年周期」が存在していることは広く知られている。詳しく解説していこう。

ただプラザ合意が、当初より120円までの米ドル安誘導を目指したわけではなく、実際的には150円以下の米ドル安はプラザ合意の想定を超えた結果だった。このため、既に見てきたように5年MAを4割以上も下回る未曽有の米ドル「下がり過ぎ」が起こった。そして、そんな「下がり過ぎ」の反動で起こったのが、1990年4月160円までの米ドル高・円安だった。

これは、過去の上昇相場と比較しても高い。 大きく上がった株価やドル円相場が、一旦崩れると、急落する。1990年バブル崩壊、

ドル円には8年周期が認められる。ちょうど8年前後で以下のようにドル高・円安がピークをつけているのだ。

これに対して足元で160円を目指す動きは、5年MAを3割程度米ドル/円が上回るものだ。経験的にこれは、「行き過ぎた米ドル高・円安」の可能性を示している。「行き過ぎた円安」という意味では、1990年の160円とは異なり、「悪い円安」と感じる人が多くなっているだろう。

〈図表4〉国際収支項目とドル円相場の関係(2008年〜17年)

ドル円は1982年10月に278円台と80年以降の最高値をつけた。82年10月の月中平均は271円33銭だった。ソ連がアフガニスタンに侵攻し地政学リスクが高まり、有事のドル買いが進んだ。その後ドル円は反転、1985年9月のプラザ合意でドル安誘導政策が取られたため、1988年11月にはドル円は120円台まで売られ当時の過去最安値をつけた。11月の月中平均は123円16銭だった。

日本政府は、急激な円高で日本の輸出企業が大きなダメージを受けることを避けるために、景気対策として超低金利政策を推進した。これが世界景気の拡大および日本のバブルを助長することとなった。ドル円は1990年4月には160円35銭まで買われ、4月の月中平均は158円50銭と約7年6ヵ月ぶりの高値を付けた。

円相場歴史:ドル/円チャート長期レート|1.10.20.30.50年推移

米ドル/円の5年MAかい離率を見ると、1980年代後半にはマイナス40%程度まで拡大していた(図表2参照)。つまり、5年MAから見ると、極端に行き過ぎた米ドル安・円高となっていた。これは、当時の大きな政治経済の課題に日米の貿易不均衡是正があり、そのために米ドル安・円高への為替調整が行われた影響があった。この結果、「行き過ぎた米ドル安・円高」が起こり、その修正が1990年160円への回帰だった。当時の160円は「行き過ぎた円高」の修正ということで、相対的には「よい円安」の評価が多かった。

90年以降は日本のバブルが崩壊し円高が進行した。1995年4月にはドル円は一時79円台と80円を割り込み当時の史上最安値をつけた。4月の月中平均は83円53銭だった。90年代後半には、日本の銀行の不良債権が拡大し金融機関が相次いで破綻し、アジア通貨危機も起こったこともあって円安が進むことになる。ドル円は1998年8月には147円台を付け、1990年4月以来、約8年4ヵ月ぶりの高水準となった。


注)5/16更新分よりドル円輸出物価PPPにつきまして、1990年基準→1973年基準に変更しました。 ..

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データ引用元 : 1990年1月~1996年3月旧東京銀行、1996年4月~2005年12月旧東京三菱銀行、2006年1月~2018年3月まで三菱東京UFJ銀行、2018年4月以降は三菱UFJ銀行の最終公表相場

日米株価指数が上昇、ドル円は1990年以来となる高値151.97円を記録

90年代後半のアジア通貨危機後から2000年台初にかけてITバブルで世界的な景気拡大局面があった。世界景気拡大でドル安が進み、1999年11月には101円台の円高を付けた。月中平均では1999年12月の102円61銭が円高のピークとなった。2001年に米同時多発テロが起きたことで、ITバブルは完全に崩壊する。ドルは売られたが円も売られたため、ドル円は比較的狭いレンジでの動きだった。2007年の世界的な景気拡大局面にあわせて、ドル円は2007年6月には122円64銭と約8年10ヵ月ぶりの円安をつけた。

ドル円156円大台突破、1990年以来の高値 日銀サプライズなく無難に通過で円売り再開.

歴史的なが続いている。4月末には一時1ドル=160円台をつけ、1990年4月以来の水準まで下落した。当時はバブル景気まっ盛り。85年の後の「行き過ぎた円高」に対処すべく、やを進めた結果が円安をもたらした。いまと違うのは、当時の日本経済には、まだ余裕があった。

米ドル/円(USD/JPY)為替レート推移(IMF)|セカイハブ

2008年にはリーマンショックが起きドルが急落した。2011年10月にはドル円の史上最安値である75円台をつけた。月中平均でも76円72銭と過去最低を更新した。日本政府はリーマンショックによる世界的な景気縮小に対し、2013年以降、アベノミクスとして超低金利と円安政策を推し進めた。日本が低金利を続ける一方で、いち早くリーマンショックから回復した米国が利上げをはじめたことで、日米金利差の拡大からドルは買われた。2015年6月には125円81銭のドル高をつけた、6月の月中平均は123円70銭で約8年1ヵ月ぶりの円安だった。

【10月20日 AFP】20日のドル円相場は、一時1ドル=150円台前半を付け、1990年以来の円安水準になった。

ドル円の8年周期は、主要通貨のサイクルの中ではもっとも信頼性が高いともいわれている。この周期は景気のサイクルと連動しているという見方が主流だ。また、8年周期が投資家に周知されており有名なため、投資家がそのサイクルに導かれているのではないかとの指摘もあるようだ。