ドル円は円安進行で156円台へ~為替介入を考える上での要点整理


【急速に進む円安修正~今後のシナリオを展望する】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。


ドル円は9月16日に、一時1ドル=139円58銭水準をつけたあと、足元までほぼ一本調子でドル高・円安が進行しています。

【円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

ドル円レートは、ここにきて円安加速の様相を帯びている。日米金融政策の姿勢が微妙に変化したせいである。鍵を握るのは、トランプ次期大統領の政策だ。日本は円安が再び為替介入のラインに迫ったとき、機動的に介入実施ができるだろうか。おそらく、動きにくいのではないか。それを悟られると投機的円安が進んでしまう。

ドル円相場 ; 始値(5:53) 157.20 ; 高値(23:01) 157.84 ; 安値(9:03) 157.07.

外国の通貨(ドルなど)の価値に比べて円の価値が高くなることが「円高」、反対に低くなることが「円安」である。

例えば、円相場が1ドル=100円から1ドル=90円になれば、円の価値が上昇したことになるので「円高」と呼ばれ、1ドル=110円となれば、「円安」と呼ばれる。

円高、円安は政治的経済的要因によって外国為替市場における円への需給が変化することで生じる。円高では輸入品が安くなり、物価を下げる効果があるが、円高が続けば輸出産業は苦しくなる。

戦後日本は長い間1ドル=360円の固定為替相場制であったが、1973年以降は変動為替相場制となった。過去最大の円高としては2011年10月31日の1ドル=75円32銭がある。

再び円安が加速している(図表)。米国では、長期金利が4.5%台まで上昇している。トランプ次期大統領の政策が、2025年にインフレを促すとみられるので、それを見越してFRBも利下げがしにくくなると見通しを変更した。12月のFOMCでは、25年末までに2回分▲0.50%ポイントの利下げ(前回9月4回分▲1.00%)を示した。おそらく、半年ごとに1回ではなく、2025年前半の早い時期に2回の利下げになるだろう。だから、2025年後半は政策金利据え置きになって、金融政策の方針が転換される可能性がある。心配されるのは、FRBが今度はどこかで利上げに転じるのではないかという思惑が急浮上することだ。米長期金利は、上昇基調に転じることになる。つまり、為替レートもドル高・円安のトレンドに転じていく可能性がある。

急速に進む円安修正~今後のシナリオを展望する | ニッセイ基礎研究所

もう一方で、日銀はどうだろうか。12月の日銀金融政策決定会合では、植田総裁が意外に慎重だということが改めて理解できた。この12月の金利据え置きで、円安圧力をかなり強めたと思う。

円高のメリットは、円の購買力を国際的に引き上げるとともに、輸入品を通じて国内物価を引き下げる効果が期待できます。また、外国製品が安く買え、海外の投資資金が流入しや株式の価格を押し上げます。円高のデメリットは、日本からの輸出製品が値上がりし、日本製品の国際競争力が低下します。また、外貨建ての資産が目減りします。
円安のメリットは、外貨建ての資産価値が高まり、輸出製品の海外での価格が下がって輸出産業は好調になります。円安のデメリットは外国製品が高くなり、海外へ投資資金が流出しや株式の価格が下がります。

円相場 一時1ドル=146円台半ばまで円安ドル高進む NY市場 | NHK

日米の政策金利差を考えると、FRBは2025年前半に2回の利下げを行って、日銀が1回の利上げを行うと、金利差は3.25%ポイントまで縮まる。この日米金利差の縮小自体は、円高要因だ。しかし、その後の2025年後半以降は米金利が引き上げ方向に向かうと予想されれば、現在の金利差よりも、将来の金利差予想に反応して、ドル高円安へと向かう可能性がある。

例えば、日本人が旅先のハワイで買い物をするため、手元にある1万円をドルに両替するとします。が1ドル=100円であれば、1万を100で割った100ドルになります。しかし、もし為替相場が1ドル=80円であれば、1万を80で割った125ドルになり、また、1ドル=125円であれば、1万を125で割った80ドルになります。これらを比べると、1ドル=80円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより多くのドルを取得できるので、円高ということになります。逆に、1ドル=125円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより少ないドルしか取得できないので、円安ということになります。


米ドル/円【USDJPY】:外国為替・リアルタイムFXレート・チャート

世界にはさまざまな通貨があり、海外でものを買うには「円」を外国の通貨に換えなくてはならず、その際の交換比率が為替相場です。経済動向をあらわす指標として、テレビ等のニュースでは「本日の東京外国為替市場の円相場は……」と報道されます。つまり、円と外貨との交換比率は日々刻々と変動しているのです。例えば、円を外貨に換える需要より外貨を円に換える需要が多ければ、円が買われるとともに外貨が売られ、「円高」が進行します。「ドル」を商品と見立てると、例えば対ドルで「1ドルが105円から104円になり、1円、円高になった」というようにいいます。この場合、「1ドルの価値が105円から104円に下がった」ことになるため「ドル安=円高」になったわけです。
円やドルなど通貨間の交換比率は、需要と供給の関係で決まります。従って、需給関係が変動すれば、為替相場も変動します。

円相場 一時1ドル161円70銭台に 37年半ぶりの円安水準更新 | NHK

本年7月11・12日の為替介入では、1ドル161円で介入して157円まで円高方向に押し戻した。介入ラインが160円だとすると、現在の為替レートはその介入ラインに近づいている。日銀の金利据え置きは、きっと投機的な思惑を刺激して、円売り圧力を生じさせることだろう。おそらくドル円レートは、1ドル160円を試しに行くだろう。

円相場 一時1ドル161円70銭台に 37年半ぶりの円安水準更新 ..

為替レートの円安化を防ぐ手段には、為替介入もある。しかし、為替介入は伝家の宝刀で容易に使うことはできない。2025年1月20日以降は、トランプ政権に交代し、財務長官もベッセント氏になる。ドル売り・円買い介入は、米国側に容認されるだろうか。そこには、Noと言われるかもという不確実性がある。直感的に為替介入は、以前よりも実施しにくくなるとみられる。なお、2017~2021年の前回のトランプ政権の時期には、日本は為替介入を行っていない。

円安加速、1ドル160円台を目指す ~日米金融政策の修正を受けて

円高とは、円の他通貨に対する相対的価値、言い換えると、円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に多い状態のことです。逆に、円安とは、円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のことです。

38年ぶりの円安水準に 一時1ドル160円台、為替介入の警戒再び

翻ってなぜ、日銀は為替介入が難しくなるような局面でわざわざ火中の栗を拾うように、円安容認的な金利据え置きをしたのであろうか。何度も繰り返すが、「こうすれば、こうなることは事前にわかっていたはず」だと思う。これが筆者が抱く日銀の謎である。

10月末1ドル=151.97円 「円安」関連倒産は5件 10月は4カ月ぶり減少

「円」を外国の通貨に換える際の交換比率が為替相場です。円やドルなど通貨間の交換比率は、需要と供給の関係で決まり、需給関係が変動すれば為替相場は変動します。

トランプ円安が突き進む ~1 ドル160 円を目指す展開~ | 熊野 英生

目下、トランプ氏は連邦予算のつなぎ法案に反対し、政府閉鎖のリスクが急浮上している。そこでは、連邦債務上限を求めている。債務上限が引き上げられれば、トランプ氏が推進しようとしている法人税減税なども実行しやすくなる。政府債務拡大は、インフレ要因であり、米長期金利を上昇させる圧力となる。早くもドル高円安の要因を作るような行動を採ったようにみえる。

円安急進の可能性も ドル円に節目か 日米金融政策の見通しは?

トランプ政策は、いずれもインフレ促進の作用を持っているので、そのメニューの実行が早いか遅いかによって、インフレ・リスクの顕在化の時期は変わってくるだろう。新政権の閣僚人事は、トランプ氏の忠臣が揃っていて、政策対応は早い時期に実行される可能性がある。すると、FRBの利下げ停止は早いタイミングになり、2025年後半はやはりドル高円安への変化が加速する可能性がある。12月のFOMCで示されたメンバーの物価予想は、2025年2.5%(9月2.1%、PCEデフレーター)である。それを上回っていけば、政策金利のスタンスも変わっていくだろう。

ドル, NZドル, カナダドル, スイスフラン, 香港ドル, ブラジルレアル, 人民元 ..

光熱費や食費、衣料品など日々の暮らしのさまざまな分野に大きな影響を与えているのが為替相場です。円高や円安によってどのような影響があるのか確認してみましょう。

「円安」時代の次は「ドル高」時代へ。ドル/円は今月160円も?

それに対して、日銀は素早い追加利上げができにくいと考えられる。2025年前半に1ドル160~165円を目指し、年後半はもしかすると、それ以上の円安もあり得る。

19日の東京外国為替市場の円相場は円安・ドル高の流れが強まり、一時、1ドル=156円台半ばまで円安が進んだ。 日本銀行本店.

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