[PDF] フォシーガ錠 5mg、10mg に係る 医薬品リスク管理計画書
SGLT2阻害薬によるDKA発症の機序には、本剤ならではの特徴があります。SGLT2阻害薬を投与すると、尿糖排泄増加により血糖および血中インスリンが低下し、グルカゴン/インスリン比が増加します。その結果、肝臓では血糖低下を補うように糖産生が増加します。脂肪組織では脂肪分解が亢進し産生された遊離脂肪酸が肝臓でケトン体に変わっていきます。SGLT2阻害薬により、全身エネルギー代謝としてはブドウ糖利用から脂質利用の割合が増え、増加したケトン体もエネルギー源として心臓などに好影響を与えることが報告されています。しかし、そのような状況のなかで、不適切なインスリン減量/中断や極端な糖質摂取不足、脱水などの誘因により、この流れが増強されると、酸性物質である血中ケトン体が急増しDKAが発症します。有益とも考えられているケトン体を増加させ過ぎないことが重要です。
心不全患者において SGLT2 阻害薬を使用する場合、各薬剤の添付文書および本
一方でSGLT2阻害薬のダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)は慢性心不全の適応が新たに追加されました。今後使用患者も増えることが予測されるSGLT2阻害薬を有効かつ安全に使用していきましょう。
糖尿病ケトアシドーシスDKAとは、インスリン欠乏や極度のインスリン作用不足と、グルカゴンなどのインスリン拮抗ホルモンの過剰分泌により、高血糖と高ケトン血症、アシドーシスをきたした状態です。症状としては、全身倦怠感や口渇などの高血糖症状に加えて嘔気・嘔吐、腹痛や過呼吸などがあり、処置が遅れると昏睡に至ることもあります。DKAの患者さんは、入院の上、脱水と電解質異常への対処、インスリン少量持続静注を開始します。
承認番号:22600AMX00528(フォシーガ®錠5 mg)、22600AMX00529(フォシーガ®錠10 mg).
日本腎臓学会
「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」作成委員会
委員長 深水 圭
近年,血糖降下薬として使用されているsodium glucose co-transporter 2 (SGLT2)阻害薬が,2型糖尿病を合併した慢性腎臓病(CKD: chronic kidney disease)のみならず,糖尿病非合併CKDに対しても使用が可能となりました。今後,CKDに対するSGLT2阻害薬の使用が増加することが予想されますが,SGLT2阻害薬投与を推奨するCKD患者像や,投与時のさまざまな注意点などの情報を,専門医のみならず一般医家の先生方にも幅広く共有することは,CKD患者の透析導入を阻止すると同時に,副作用や有害事象の発症を未然に防ぐことにつながると考えます。日本腎臓学会では,SGLT2阻害薬の有効性や安全性を理解した上でCKD患者に対してSGLT2阻害薬が適正に使用されるよう,日本糖尿病学会と連携して"CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation"を策定しました。日本糖尿病学会が策定している「糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」も参考にしながら,本recommendationをCKD診療に御活用ください。
今後,新たなエビデンスの創出により改訂が必要となる場合には,随時内容を更新いたします。