豪ドルは当面堅調な推移(2020年12月)政策金利を0.10%に据え置き


豪ドルは先進国通貨でありながら資源国通貨の側面をあわせ持つ通貨です。資源価格が上昇すると豪ドル相場も上昇する傾向があります。
オーストラリアは歴史的に先進諸国の中ではインフレ率が高くなりがちなことから、金利も他の先進諸国よりも高くなる傾向があります。そのため、世界的に政治・経済が安定している時には金利狙いの資金が集まりやすく、豪ドルも高くなる傾向がある一方、突発的な混乱が生じると、一気に資金が流出して豪ドル安となることもあります。
米ドルやユーロなどと比べると、市場規模が小さいため、投資資金の移動が始まると一方的な動きとなりやすい特性もあります。また値幅も非常に大きく、変動のスピードも速くなることが多いため、余裕をもった投資を心掛けることが必要でしょう。


豪ドルは当面堅調な推移(2020年12月) 政策金利を0.10%に据え置き

先進国の中では歴史的に金利が高い通貨ですので、金利動向には敏感に反応します。またRBA総裁などの金融当局者や、政府閣僚などから、為替水準に関する発言が比較的多くあり、その内容が市場で注目されます。高金利を背景に投資対象として見られることが多いことから、世界が政治的、経済的に安定している時には豪ドル高になりやすく、反対に混乱すると豪ドル安になりやすい性質があります。
現在は輸出主導型から内需中心の経済へ移行しつつありますが、それでも豊富な天然資源や食料品の輸出は盛んです。したがって、世界的な景気に影響を受けることはもちろん、貿易相手として輸出入ともに第1位の中国の景気に左右されるため、自国の経済指標と同様に中国の経済指標も豪ドル相場に大きく影響します。また資源国通貨の側面もあることから、原油・鉄鉱石・金など資源価格の変動も、豪ドル相場を動かす要因となり、商品市況の動きにも注意する必要があります。

豪ドル相場は、BRICsなどの新興国が台頭し、米国経済も好調だった2006年から2007年にかけて、資源輸出が大きく拡大し経常黒字が増加したことに加え、世界経済が安定的に推移したことも手伝って1豪ドル=80円台から107円台まで大きく上昇しました。
2008年9月にリーマンショックが発生すると、投資資金が一気に流出し1豪ドル=101円台から50円台まで急落しました。世界経済の混乱が豪ドル相場に悪影響を与える典型的な動きでした。しかし中国が大型景気対策を講じると、資源輸出の回復期待から豪ドルは反発へ転じ2010年4月には1豪ドル=88円付近まで上昇しました。さらにアベノミクスによる全般的な円安が始まると2013年4月には1豪ドル=105円台まで上昇しました。しかし2015年に入ると、関係の深い中国経済の減速や急激な原油安 (商品市況安) から豪ドル安となり、2016年6月には1豪ドル=72円台まで下落しました。
2020年初めから新型コロナの拡大によるリスク回避の動きが広がると、1豪ドル=80円付近から60円割れまで急落しました。しかし世界的な景気回復が始まると反発、エネルギーを中心とした資源価格の急騰も後押しとなって、1豪ドル=85円台まで反発した後、1豪ドル=80円付近を中心とした値動きとなりました。
2022年に入って、オーストラリアを含む各国の利上げが始まりましたが、日本が異次元緩和政策を維持したことから全般的な円安の動きとなって2022年9月に1豪ドル=98円台まで上昇しました。その後円相場が反発すると2023年に1豪ドル=86円付近まで下落する場面もありましたが、日経平均株価が40,000円乗せまで上昇する中、再び円売りが優勢となって2024年4月、豪ドルは約10年ぶりに100円台に乗せました。この間、日銀が2024年3月に2013年から続けてきた異次元緩和を終了し、約17年ぶりとなる利上げを決定しましたが、植田日銀総裁が「緩和的な金融政策を継続することが大切」などとしたことから円高の動きにはつながりませんでした。しかしRBAが2024年6月に追加利上げを排除しないと表明したことから、1豪ドル=105円後半と約17年ぶりの高値まで上昇しました。
ユーロ圏をはじめ主要国が金利引き下げサイクルに移行する中、オーストラリアが追加利上げをしたり、利下げ開始時期がさらに先送りされたりすると、豪ドルは一段と上昇すると考えられています。

豪州政策金利(キャッシュ・レート・ターゲット)の予想(23/7/3)

オーストラリアは世界第6位の広大な土地 (日本の約20倍) に約2,626万人 (2022年12月) の人々が暮らす国です。19世紀に全土がイギリスの植民地となって以来、主にイギリスからの移民によって人口が拡大しました。現在でも英国連邦に属し、英国のチャールズ3世国王がオーストラリア国王を兼ねていて、英国との親密な関係が維持されています。
先進国でありながら金、鉛、ニッケル、ウラン、亜鉛、鉄鉱石などを産出する天然資源が豊富な国です。そのため新興国の成長によって“資源ブーム”が起こった2003年から2007年頃には、オーストラリア経済も好調で、オーストラリアドル (豪ドル) は金利が高く、投資家の人気を集めました。しかし、新興国経済が減速した2016年以降は、経済成長が伸び悩み、金利も低下傾向でした。
輸出における資源・エネルギーの割合は約50%と非常に高いものの、実は鉱業がオーストラリアのGDPに占める割合は約10%とそれほど高くはありません。GDPの約70%は金融や公益事業、消費関連などのサービス業が占め、オーストラリア経済の主役となっています。移民政策も含め、先進国としては珍しく当面の人口増加が見込まれている点にも注目すべきでしょう。しかしやはり資源・エネルギーの輸出はオーストラリア経済の足元を固めています。その点で今懸念があるとすれば、輸出入ともに相手国として中国が第一位である点です。中国の景気に左右されやすく、今後の米中関係、中露関係の行方や、中国の太平洋への進出によって豪中関係に変化があると、大きな悪影響が出る可能性があります。
コロナ禍に対しては、当初は国境封鎖をはじめとする強力な感染対策による封じ込めに成功しましたが、その後、感染が拡大するとともに、第2の都市メルボルンでは累計で世界最長となったロックダウンが実施されるなど経済活動に深刻な悪影響が出ました。ただ、出遅れたワクチン政策が軌道に乗ったことで、2022年10月にはほとんどの規制が解除されました。
2022年2月にロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻を開始して以来、オーストラリアを含む西側諸国はウクライナに物心両面で支援を続けていますが、ロシアに対しては経済制裁を科すなど厳しい姿勢を示しています。この間も中国は西側諸国と異なってロシアとの緊密な関係を維持しています。加えて中国による海洋進出をけん制することも目的のひとつとしてAUKUS (豪、英、米) やQUAD (日、米、豪、印) などの取り組みも始まっています。さらにソロモン諸島と中国が安全保障協定を締結したことをオーストラリアは強く懸念していて、今後豪中関係に大きな変化があれば経済へのネガティブな影響となることが考えられます。
長年高金利が魅力とされてきた豪ドルですが、コロナ禍後の利上げサイクルでは米英などに比べやや慎重な利上げペースとなっていました。中央銀行であるオーストラリア準備銀行 (RBA) は2022年5月に政策金利を0.10%から0.35%に引き上げて利上げを開始し、2023年6月までに4.10%まで引き上げました。その後アメリカの利上げが終了したとの見方が広まる中、しばらく様子見をしたものの2023年11月に再び4.35%へ引き上げました。
2024年3月、日銀金融政策決定会合で「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」として、2013年から続けてきた異次元緩和が終了され、約17年ぶりとなる利上げが決定されました。しかし植田日銀総裁が今後の金利の引き上げペースに関して「急激な上昇というのは避けられるとみている」と述べたことなどから、緩和的な金融政策が継続されると見られています。
一方RBAは2024年6月の理事会まで政策金利を据え置いていますが、「インフレ上昇リスクに引き続き警戒する必要があることが再確認された」「インフレ率を2~3%の目標範囲に戻す道のりはまだ長い」として、必要であれば追加利上げを排除しないと改めて表明しています。すでに2024年6月に利下げをしたユーロ圏に続いて、アメリカ、英国など主要国が年内に利下げに転じると見られる中、タカ派的な態度を崩していないオーストラリアは、他国との違いが際立つ形となっています。

-前営業日サマリー-
ドル円は149.96円でオープン。東京市場では、本邦7-9月期実質GDPが上方修正されたことを受けて円買いが一時進み、ドル円は149.70円付近まで下落する場面がありました。ロンドン市場では、中国政府が金融政策を「穏健」から「適度に緩和的」へ変更したことを受け、香港株が大幅高。市場のリスクオンムードが強まり円売りが進む中、ドル円は150円後半まで上昇しました。NY市場では、円安の流れが引き継がれ、さらに米長期金利の上昇もあり、ドル円は上昇。最終的に151.18円で取引を終えました。

豪ドル週間見通し:底堅い展開か、豪政策金利は当面据え置きの公算

-RBA政策金利発表に注目、豪ドルの動向を探る-
本日のイベントは、中貿易収支、豪RBA政策金利&声明発表、豪ブロックRBA総裁の記者会見が予定されています。
RBAは2023年11月の利上げ以降インフレ抑制と経済成長のバランスを取る慎重な政策スタンスを維持しており、本日決定される豪政策金利は4.35%で据え置かれる見通しとなっています。一方で、足元の経済指標にはややばらつきが見られます。2024年第3四半期のGDP成長率が市場予想を下回る一方、失業率や消費関連指標は堅調を維持。こうした混在したデータがRBAの次の一手を左右する可能性があります。
また、ニュージーランドとの政策の違いにも注目です。ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は2024年に利下げを続けており、AUD/NZDの為替レートは変動が激化する可能性があります。NZD安によるニュージーランドの輸出競争力向上やAUD高によるオーストラリア輸出業への影響が、両国経済に与える影響を見極める必要があります。
RBAの発表内容は、声明文や総裁の発言にも注目が集まります。政策金利が維持される場合でも、将来の利下げを示唆する内容が含まれれば、AUDに下落圧力がかかる可能性があります。声明文の内容を丁寧に確認し、市場の動きに備えていきたいところです。

投資家の間では、豪中銀の目先の利下げ期待が後退し、金融政策に敏感な3年債利回りは3.55%とほぼ変わらず。豪ドルは2023年7月以来の高値近くに上昇した。スワップトレーダーが織り込む12月会合での利下げ確率は、ほぼ五分五分となっている。

2/4(火)12:30(日本時間)予定 豪 金融政策発表 事前予想は?

金利は年利・税引前の表示です (個人のお客さまの税引後の利率は、20.315% (国税15.315% [復興特別所得税を含む] 、地方税5%) の源泉徴収税率で計算しています。


・5月7日に豪準備銀行(RBA)は金融政策決定会合を開催。政策金利は4.35%で据え置きとなった。

・NY原油先物市場は反発。米国がドライブシーズンに入っており、季節的なガソリン需要増加の見通しが支えとなった。終値は前営業日比+1.88ドルの1バレル=80.33ドル(6月17日)。


豪ドル相場は強含み(2020年9月) 豪政策金利は0.25%に据え置き、GDPは下振れ.

【ポイント】
・RBA(豪中銀)は会合で“利上げ”を検討
・RBA総裁は市場の“利下げ観測”をけん制

本日、RBA(豪中銀)は政策会合を開き、政策金利を4.35%に据え置くことを決定しました。据え置きは6会合連続です。

政策金利の据え置きは市場予想通りだったものの、RBA会合の結果発表後は豪ドルが堅調に推移して、豪ドル/円や豪ドル/米ドル、豪ドル/NZドルは上昇しました。RBAの声明や総裁会見がタカ派的な内容だったことで、RBAの利下げ観測が市場で後退したためと考えられます。

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RBAは声明で、「最近のデータは、(豪州の)インフレ率を目標に戻すプロセスは緩慢で不均一なことを示している」と指摘。「基調的なインフレ率(CPIトリム平均値)は依然として高過ぎる」とし、「インフレ率が目標レンジ内で持続的に推移するまでには、まだしばらく時間がかかる」との見方を示しました。

豪経済については、「経済活動の勢いは弱い」との見方が示され、また「家計消費の回復が予想よりも遅く、生産の伸びが引き続き鈍化し、労働市場が著しく悪化するリスクもある」とされました。

声明はまた、「経済データは、インフレの上振れリスクに引き続き警戒する必要性を裏付けている」とし、「(RBA)理事会は」と改めて表明。今回新たに「インフレ率が目標レンジに向かって持続的に鈍化しているとの確信が得られるまで、政策は十分に(景気)抑制的である必要がある」が加えられました。

ブロックRBA総裁は会合後の会見で、「インフレ率が目標レンジに戻るまでに時間がかかりすぎるリスクは依然としてあり、(政策)金利はより長く高水準にとどまる必要がある」と指摘。本日の会合では「した」とし、「がある」と述べました。

ブロック総裁はまた、市場の。「利下げは当面の議題ではない」、「近い将来の利下げは、理事会の考えと一致しない」、「今後6カ月のうちに利下げするとの市場の見方は、理事会とは一致しない」、「市場は先走っている」などと述べました。

豪ドル週間見通し: 底堅い展開か、豪政策金利は据え置きの公算

ブロック総裁は政策決定発表後の記者会見で、「今回は利上げをはっきりと検討していない。金利は当面は現状維持になるだろう」と発言。「短期的に政策委員会は利下げを想定していない」としながらも、「どちらの方向にも対応できることが必要だ」と語った。

豪州政策金利(キャッシュ・レート・ターゲット)の予想(2020/11/2)

本日はRBAが政策金利を発表する。直近の豪州の経済指標を見ると、月次CPIは2カ月連続で反発、雇用も強い状態が続いている。一方で、個人消費を見るとなだらかな増加傾向が続いている。豪州の人口増加率と比べると、消費は弱いと判断できる。前回の理事会でRBAは利上げと据え置きの可能性を検討していた。インフレや労働市場の状況から、今回もRBAは前回同様に利上げの可能性も検討するだろう。ただ、国内経済が減速の傾向を示していることが利上げへのハードルになっている。また、5月にRBAが公表した四半期金融政策報告の中で、RBAは6月末時点のインフレ予想を前年比+3.8%、失業率を4.0%としている。現時点では予想の範囲内であることから、RBAは様子見姿勢を継続することになりそうだ。声明やブロック総裁の記者会見から金融政策スタンスを確認したい。

豪中銀は政策金利維持か 2日理事会 豪ドル相場は今後の見通しが左右

■RBAは金利を据え置くがスタンスはややタカ派に傾く
⇒豪州の利下げ期待が後退する
⇒豪ドルは買われる

7日の東京市場は、豪中銀政策金利発表がメインイベントだった。朝方からのマーケットは各主要通貨とも狭いレンジでの揉み合いが続いた。

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は24日の金融政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を12年ぶりの高水準である4.35%に据え置くと決定した。据え置きは7会合連続となる。

[PDF] 2019年の豪州の金融・財政政策と豪ドル相場の展望

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[PDF] 豪州連邦準備銀行(中央銀行) 政策金利を 0.5%引き下げ 3.75%に

オーストラリア準備銀行は24日の定例会合で政策金利を7会合連続で4.35%に据え置いた。ここ数年のインフレ昂進を受けて同行は累計425bpの利上げに動いたが、一昨年末をピークにインフレは頭打ちに転じているほか、足下の実体経済は頭打ちが確認されている。他方、足下のインフレは依然目標を上回る推移が続き、不動産価格も大都市部を中心に上昇が続く。同行からはブロック総裁をはじめタカ派的なスタンスを示す発言が相次ぐ一方、金融市場では実体経済の頭打ちを理由に早期の利下げ観測がくすぶる。与党の労働党内から利下げを求めるけん制の動きも顕在化しており、同行の見方に注目が集まっている。

【見どころ解説!】豪中銀会合後の豪ドル見通し+メキシコ中銀 #トラリピ #豪ドル #政策金利 · Comments.

ブルームバーグが調査したエコノミスト全員が金利据え置きを予想していた。豪中銀が消費者物価指数(CPI)の目標回帰に言及したことで豪ドルは一時0.9%下落した。

[PDF] オーストラリア(豪州)豪中銀は政策金利を0.75%で据え置き

会合後に公表した声明文では、物価動向や実体経済、先行きの政策運営に対する見方について従来からのタカ派姿勢をあらためて強調する考えを示している。なお、同行のブロック総裁は政府による生活支援策が短期的なインフレ鈍化を促すとの見方を示す一方、基調インフレの動向を注視するとして慎重姿勢を崩さない。その上で、当面の政策運営を巡っては現行水準での据え置きを示唆する考えを示した。追加利上げのハードルは高まっていると判断される一方、当面の豪ドル相場は金融政策の方向性の違いが米ドルに対して比較的堅調な推移を促すと見込まれるが、日本円に対しては上値が抑えられる展開が続こう。

16:37 · Go to channel · 【2024年12月18日】金融政策と関税 米ドル/カナダドルの行方(八代和也) ..

オーストラリア準備銀行(RBA)は、24日に開催した定例の金融政策委員会において政策金利(オフィシャル・キャッシュ・レート)を7会合連続で4.35%に据え置く決定を行った。ここ数年の同国では、コロナ禍一巡による経済活動の正常化や商品高に加え、国際金融市場における米ドル高を反映した通貨豪ドル安による輸入インフレも重なり、インフレは大きく上振れした。RBAは物価と為替の安定を目的に累計425bpの利上げに動くとともに商品高の一巡も追い風に、一時は33年ぶりの水準に昂進したインフレは昨年以降に頭打ちの動きを強めてきたものの、足下においても3年以上に亘って中銀目標(2~3%)を上回る推移が続いている。なお、足下のインフレ動向を巡っては、月次ベースでみると伸びが一段と鈍化する動きが確認されているほか(注1)、実体経済も金利高と物価高の共存が長期化していることを受けて家計消費や企業部門の設備投資など内需を中心に頭打ちするなど(注2)、インフレ鈍化に繋がる動きが確認されている。他方、金利高の長期化により不動産供給が細る一方、移民をはじめとする外国人来訪者数の堅調な流入を反映した需要拡大を受けて不動産市況は大都市部を中心に上昇が続いている。アルバニージー政権は昨年以降に不動産需要の抑制を目的に移民政策を転換させるなどの強硬策に動いているものの、足下の不動産価格は全土平均で1年半以上に亘って上昇が続くなど最高値を更新する展開をみせている。ただし、足下では8つある州、および特別区の州都のうちキャンベラ、メルボルン、ダーウィン、ホバートの4都市において不動産価格は下落に転じるなど、地域ごとに跛行色が強まっている様子がうかがえる。よって、RBA内ではブロック総裁を中心にタカ派姿勢を繰り返し主張する動きをみせる一方、金融市場においては実体経済の頭打ちに加え、不動産市況を取り巻く環境にも変化が生じていることを受けて早晩RBAが利下げに動くとの見方がくすぶる。さらに、アルバニージー政権を支える与党労働党内からは、チャーマーズ財務相が「高金利政策によって国内経済が打撃を受けている」と発言しているほか、スワン元財務相も「RBAが家計に打撃を与えており、合理的な意思決定よりも教義(ドグマ)を優先している」などと述べるなど批判が強まる動きもみられる。そして、連邦議会下院において『第3極』の立場を取る緑の党は、政権が提出したRBA改革法案を巡って支持と引き換えに利下げを要求する動きをみせるなど、RBAに対する『政治的圧力』が強まる動きもみられる。こうしたことから、RBAの物価や景気に対する見方に注目が集まっている。