米国が利下げに踏み切れば、中国企業が1兆ドル(約144兆円)相当のドル建て資産を売却し、人民元が最大10%上昇する可能性がある。
中国人民銀行(中央銀行)がドル流動性を吸収するための介入をしなければ、人民元の上昇はさらに大きくなる可能性があると、ロンドンを拠点とするジェン氏は先週のインタビューで語った。
1ドル7.0元防衛で中国外貨準備急減の大問題 資本流出阻止に躍起も
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中国・人民元については三菱UFJ銀行の公表相場(参考相場)もご覧になれます。
「本日の為替相場」「1990年以降の為替相場」をご参照ください。(2010年9月13日公表分より)
人民元の1ドル=7元という水準 | 三井住友DSアセットマネジメント
しかし、こうした動きが最初の米利下げ直後に起こる見込みは薄い。いわゆるソフトランディングシナリオの中でドルの下落が加速したとき、あるいはリセッション(景気後退)を引き起こすことなく米国のインフレが鈍化したときに起こるかもしれないと同氏は述べた。
結果的に、人民元は対ドルで上昇する公算が大きい。元は26日の本土市場では1ドル=7.12元前後での取引。7月には一時7.28元近くまで弱含んだ。
中国当局は近年、1ドル=7元に近づく局面で元安進行を抑制、この水準が防衛ラインとみられる
円キャリートレードの巻き戻しは、株式やクレジット、新興国通貨などあらゆるものに影響を及ぼす激震だった。人民元で資金を調達するキャリートレードが崩壊すれば、特にアジア市場全体に新たなパニックの波が押し寄せる可能性がある。
それでも、人民銀は乱高下を抑えることができるだろうとジェン氏は言う。中国政府は、人民元の大幅な上昇は輸出競争力を低下させ、すでに低迷している景気回復を弱体化させる恐れがあるとして、常に慎重な姿勢を見せている。
複数の関係筋によると、人民元の上昇を抑えるため、大手中国国有銀行が30日に国内外為市場でドル買いを実施した。
米連邦準備制度が借り入れコストを引き下げれば、中国と米国の金利差が縮小してドル資産の魅力が低下し、「保守的」に見積もっても1兆ドル相当が中国に還流し得るという。
元高が輸出企業に与える影響を見極めるため、中国国家外為管理局(SAFE)はすでにを強めていると、事情に詳しい関係者は語っている。
【どうなる中国経済、中国株、人民元?】2025年のドル円相場のポイント(戸田裕大さん)[為替のリアル]
ジェン氏によれば、中国企業は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来、オフショア投資で2兆ドル余りを蓄えており、それを人民元よりも高い金利の資産として保有している可能性がある。
人民元、最大の下げ 一時0.85%安 中国人民銀、ドル買い介入
人民銀はまた、市場の期待を誘導する手段を多く保持しており、直近では、オンショア人民元の中心レートや、銀行が外貨準備として保有する必要のある外貨預金額の調整など、通貨の安定を促す手段を用いた。
中国人民銀行 人民元中心レート 1ドル=7.1002元(前日比0.0008)
中国の企業が持つドル資産の規模は、ジェン氏の予想よりやや低いとの見方もある。
中国・人民元が対ドル最安値を更新 米FRBの利上げの影響続く
マッコーリー・グループは、中国の輸出企業や多国籍企業が2022年以降に5000億ドル以上のドルを保有していると推定している。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は4300億ドルとしている。
中国人民元の中心レート、2023年以来の元安水準に-通貨安容認か
ジェン氏は「雪崩が起きると考えた方がいい」と人民元の本国還流の影響について語った。人民元は恐らく上昇し、中国政府は5-10%程度の上昇を許容するだろうと同氏はみている。
中国元 両替 (CNY) | 外貨両替・外貨宅配専門企業 トラベレックス
しかし、ジェン氏は「人民元への上昇圧力は生じるだろう」と述べ、「市場環境や政策の変化で簡単に動く資金が半分あると仮定すると、1兆ドル相当の資金が暴走に巻き込まれる可能性がある」と警鐘を鳴らした。
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*1:100通貨単位につき円 (Yen per 100unit)
*2:TTBは参考相場 (TTB is for reference only)
*3:IDRは参考相場、100通貨単位につき円 (Reference only, Yen per 100unit)
相場は11時過ぎに変更します (Table will be updated around 11:00)
CodeはS.W.I.F.T.通貨コード (Code:S.W.I.F.T. currency code)
三菱UFJ銀行の最終公表相場による(Final official quotation by MUFG Bank, Ltd., Tokyo)
なお、マレーシア、中国、台湾、韓国、インドネシア、ブラジル、アルゼンチン、チリの現地参考為替相場は、以下をクリックするとご覧になれます。
米アマゾン 20ドル以下商品専門の通販開始 中国発大手に対抗か | NHK
為替レートは現在、市場全体で適切に織り込まれていない最大のリスクであり、人民元はその中でも特に大きな影響を持つ可能性があるという。
深層中国第5回「ドルか円か人民元か-日米中通貨覇権争いの行方」
1978年の「改革・開放政策」以来、「社会主義市場経済」と称し経済発展を推し進めてきた中国。2001年のWTO加盟から成長を加速させ、2010年には名目GDP (国内総生産) で日本を抜き、2023年は米国に次ぐ世界2位の17兆6,000億米ドル、日本の4倍超の経済規模に拡大しています。2020年以降、長期化した「ゼロコロナ政策」の影響もあり、経済成長率は一時的に鈍化しましたが、2030年ごろには米国を抜いて世界一の経済大国になるという予測もあります。
世界で3番目の広大な国土に約14億人という世界最大級の人口を抱え、世界の経済動向のカギを握っています。2023年の中国の1人当たりGDP (名目) は約1万2,514米ドルで、あとわずかで「高所得国」 (世界銀行GNI基準) の仲間入りです。中間層がさらに拡大し活発な消費が行われれば、巨大な人口に支えられ国内市場だけでも十分な成長が期待できることに加え、2013年に立ち上がった「一帯一路」構想 (現代版シルクロード経済圏と呼ばれ) に基づいて、周辺国からアフリカ、欧州に至る広い地域で大規模なインフラ開発を進めてきたことも中長期的な経済成長を促しそうです。
また中国では、電気自動車 (EV) に国が補助を出したことで普及が加速しました。AIやドローンなどの最新テクノロジーを活用したサービスも急速に普及しており、今後も新たな技術や革新的なサービスによって世界をリードしていく可能性があります。
一方で中国と米国との対立が激化しています。2018年ごろから、米国の中国に対する関税措置、米国を中心とする先進国によるハイテク中核部品・機械の輸出規制、安全保障を理由とする中国製通信機器完成品の輸入規制などが行われました。新型コロナをめぐっても衝突があり、香港・台湾や人権問題でも米国による批判は強まっています。欧州とも貿易摩擦の火種を抱えています。
米国による対中制裁もあって、G7の中で唯一「一帯一路」に参加してきたイタリアが離脱しました。他にも「一帯一路」は一部の国でいわゆる「債務のわな」への警戒感を呼び、事業がとん挫しています。
ロシアのウクライナ侵攻に関しては停戦に向けて建設的な「立場」を表明していますが、むしろロシア寄りとの批判もあります。一面では旧ソ連邦の構成国だったベラルーシや、ウズベキスタンなど中央アジア諸国で中国の影響力が増す、中国元の決済使用量が増えるという可能性もあります。
また、中国は近年、イランやロシアなどから中国元建てで石油や液化天然ガス (LNG) の購入を増やしています。習近平国家主席は2022年末にサウジアラビアおよびアラブの主要産油国で構成する湾岸協力会議 (GCC) の指導者たちと会談しました。サウジアラビアとイランの外交関係正常化合意を仲介するなど、中東において大国としての存在感を示してもいます。
国内経済の面では1979年に「一人っ子政策」が導入され2014年には終了したものの、現状では高齢化、出生数の減少が急速に進んでおり、労働人口の減少を通して成長見通しに影を落としています。
また、不動産市場の低迷が大きな問題となり、デフレに突入しているとの見方もあります。中国当局は2024年5月に総合的な不動産支援策を発表、ようやく本腰を入れ始めたように見えますが、このテコ入れ策が功を奏するかが注目されます。
中国人民元が上昇、今年の値下がり分帳消し-ドル安で資本環流期待
日本では「元」と呼ばれることが多い中国元ですが、中国では「人民幣」と表記されます。通貨バスケットに対する管理変動相場制をとっています。
中国元市場は、中国本土内で取引されるオンショア中国元市場と、香港を含む海外で取引されるオフショア中国元市場の2種類があります。香港は中国の一部ですが、本土とは通貨制度が異なり、中国元は外貨と同様であるため、オフショア中国元市場のひとつとなります。当社が取り扱う中国元はオフショア中国元です。
もともと中国元はオンショア (中国本土内) のみで取引されていましたが、中央銀行である中国人民銀行と、香港の中央銀行にあたる香港金融管理局 (HKMA) が2010年、中国元の国際化を推進するため、中国本土と香港との間で中国元の受け渡しをできるようにするという共同声明を発表しました。これによって香港に世界初のオフショア中国元市場が誕生しました。現在、オフショア中国元市場は、シンガポール、台湾、ロンドンなどにも開設されています。
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オンショア中国元とオフショア中国元の値動きは、長期の方向感で見るとほぼ一致しています。しかし、それぞれの市場参加者が異なることや、オンショア中国元については中国当局が相場を一定程度コントロールしていることから、短期で見ると価格に差 (乖離) が生じることが珍しくありません。さほど規制がなく、海外の投資家が自由に売買できるオフショア中国元は、市場の思惑によって値が動きやすいからです。その分、オフショア中国元のほうがオンショアに比べて値動きはやや激しいと言えます。
また中国当局は、価格の乖離幅が大きくなり過ぎると、オフショア中国元市場に直接介入して幅を埋めようとする傾向があります。これによってオフショア中国元の価格が一時的に大きく動くこともあります。
それでも中期的にみるとほかの新興国通貨に比べ値動きは緩やかです。
米ドル、ユーロはもちろん人気の台湾ドル、韓国ウォン、タイバーツ、シンガポールドル ..
米国が利下げに踏み切れば、中国企業が1兆ドル(約144兆円)相当のドル建て資産を売却し、人民元が最大10%上昇する可能性がある。ユリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)が予想した。
豪ドル乱高下 中国経済期待で一時97円台 RBA利下げ見通しは拡大
中国人民銀行は日々、取引の初値となる「中間値 (基準値) 」を発表します。これを基準としてその日の値動きを上下1%以内に収めなければならないという制限をかけています。元が上昇傾向であっても、中国人民銀行が「中間値 (基準値) 」を低く設定した場合は上昇が抑えられることになります。
金融政策は、中国人民銀行が企業の借り入れコストを誘導し金利を特定のレンジ内に維持するために、中期貸出ファシリティ (MLF) や7日後の売却条件付き債券購入 (リバースレポ) など様々な手段を使って細かく行っています。